日本法ニュース:重要判決情報
知財高判 平成21(行ケ)10033 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟(2010年01月28日)
平成22年1月28日判決言渡
平成21年(行ケ)第10033号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成21年11月11日
判決
原告ベーリンガーインゲルハイムファルマ
ゲゼルシャフトミットベシュレンクテル
ハフツングウントコンパニー
コマンディトゲゼルシャフト
訴訟代理人弁護士辻居幸一
同高石秀樹
同小和田敦子
訴訟復代理人弁護士佐竹勝一
訴訟代理人弁理士箱田篤
同田代玄
訴訟復代理人弁理士新谷雅史
被告特許庁長官
指定代理人塚中哲雄
同穴吹智子
同北村明弘
同小林和男
主文
1 特許庁が不服2006-27319号事件について平成20年9月
29日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「性的障害の治療におけるフリバンセリンの使用」と
する発明について,平成14年10月4日(パリ条約による優先権主張平成
13年10月20日,欧州)を国際出願日とする特許出願(特願2003-5
37639号。以下「本願」という。)をしたが,平成18年9月4日に拒絶
査定がされ,これに対し,同年12月4日,不服の審判(不服2006-27
319号事件)を請求した。
特許庁は,平成20年9月29日,「本件審判の請求は,成り立たない。」
との審決(以下「審決」という。付加期間90日)をし,その謄本は,同年1
0月14日に原告に送達された。
2 特許請求の範囲
本願に係る平成17年12月26日付け手続補正書(甲4)により補正され
た明細書(甲3,4。以下「本願明細書」という。)の特許請求の範囲の請求
項1の記載は,次のとおりである(以下,この請求項1に係る発明を「本願発
明」という。)。
「場合により薬理学的に許容可能な酸付加塩形態にあってもよいフリバンセリ
ンの,性欲障害治療用薬剤を製造するための使用。」
3 審決の理由
別紙審決書写しのとおりである。その要旨は,
(1) 医薬についての用途発明においては,一般に,有効成分の物質名,化学
構造だけからその有用性を予測することは困難であり,発明の詳細な説明に
有効量,投与方法,製剤化のための事項がある程度記載されている場合であ
っても,それだけでは当業者が当該医薬が実際にその用途において有用性が
あるか否かを知ることができないから,特許を受けようとする発明が発明の
詳細な説明に記載されたものであるというためには,発明の詳細な説明にお
いて,薬理データ又はそれと同視すべき程度の記載がされることにより,そ
の用途の有用性が裏付けられていることが必要である。
(2) 本願明細書の発明の詳細な説明には,フリバンセリンの本願発明の医薬
用途における有用性を裏付ける記載はない。
(3) したがって,本願発明に係る特許請求の範囲の記載は,特許法(以下
「法」という。)36条6項1号に規定する「特許を受けようとする発明が
発明の詳細な説明に記載したものであること」との要件を満たさない。
とするものである。
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