日本法ニュース:重要判決情報
知財高判 平成21(行ケ)10154 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟(2010年01月28日)
平成22年1月28日判決言渡
平成21年(行ケ)第10154号審決取消請求事件
平成21年12月9日口頭弁論終結
判決
原告ビーエスエヌメディカル,インク.
訴訟代理人弁理士廣江武典
同西尾務
同服部素明
同矢代加奈子
同長谷久生
被告特許庁長官
指定代理人熊倉強
同千馬隆之
同鈴木由起夫
同小林和男
同黒瀬雅一
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日
と定める。
事実及び理由
第1 請求
特許庁が不服2006-6434号事件について平成21年2月2日にした
審決を取り消す。
第2 争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は,平成7年(1995年)3月30日を国際出願日とする次のとおり
の特許出願をした(以下「本願」という。出願当初の請求項の数は25であっ
た。甲1)。
出願番号特願平7-525522号
発明の名称医療用物品
国際出願番号PCT/GB95/00758
国際公開番号WO95/26698
国際公開日平成7年(1995年)10月12日
国内公表日平成9年(1997年)11月4日
特許出願公表番号特表平9-510901号
優先権主張番号9406273.4
優先日平成6年(1994年)3月30日
優先権主張国イギリス(GB)
優先権主張番号9410510.3
優先日平成6年(1994年)5月25日
優先権主張国イギリス(GB)
原告は,本願につき,平成16年9月16日付け手続補正書(甲6)による
補正,及び平成17年1月27日付け手続補正書(甲7)による補正を行った
が,同年12月26日付けで拒絶査定を受けたので,平成18年4月6日,拒
絶査定不服審判(不服2006-6434号)を請求した。
原告は,本願につき,平成20年2月18日付け拒絶理由通知書(甲2)に
よる拒絶理由通知を受けたので,同年8月22日付け手続補正書(甲3)によ
り,明細書の特許請求の範囲の補正を行った(同補正により,請求項の数は2
2となった。以下,同補正後の明細書を図面とともに「本願明細書」という。)。
特許庁は,平成21年2月2日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との
審決をし,その謄本は,同月17日,原告に送達された。なお,審決取消訴訟
の出訴期間につき90日の付加期間が定められた。
2 特許請求の範囲
本願明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(以下,
この発明を「本願発明」という。)。
身体に面する第1層(30)と,前記第1層とある間隔をあけた位置関係に
あって前記第1層の上に重畳された第2層(20)とからなり,
弾力的に変形する,モノフィラメント,マルチフィラメント或いはヤーンの
いずれかからなる複数のストランド(40)が,前記第1層(30)と第2層
(20)とに固定されて前記第1層(30)と第2層(20)とを結びつけ,
かつ前記第1層(30)と第2層(20)の間に延伸し,前記第1層(30)
と第2層(20)の間隔をあけた位置関係を維持するようになっており,
前記複数のストランド(40)によって前記第1層(30)と第2層(20)
の間の全体積に対して空隙体積が少なくとも50%である空間が前記第1層
(30)と第2層(20)の間に形成されており,
前記空間に硬化可能樹脂あるいは医薬的活性剤からなる充填材料(210)
が充填されていることを特徴とする医療用包帯材料(10)。
3 審決の理由
(1) 別紙審決書写しのとおりである。要するに,本願発明は,平成20年2
月18日付け拒絶理由通知書(甲2)において引用した特開平6-3902
7号公報(平成6年2月15日公開,以下「引用文献」という。甲5)に記
載された発明(以下「引用発明」という。)及び周知技術に基づいて,当業
者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規
定により特許を受けることができないとするものである。
(2) 審決が,本願発明に進歩性がないとの結論を導く過程において認定した
引用発明の内容,本願発明と引用発明の一致点,相違点は,次のとおりであ
る。
ア引用発明の内容
基布がダブルラッシェル編機で編まれたカットパイル用編地であって,
この編地が表地(判決注:審決3頁5行目の「裏地」は,「表地」の誤り
と認められる。)及び裏地並びにこれら両者を連結するパイル糸から構成
され,
このパイル糸が,前記裏地と表地との間に3次元的間隙を形成し,
該3次元的間隙にプレポリマーを含浸してなる湿気硬化型固定用包帯。
イ一致点
身体に面する第1層と,前記第1層とある間隔をあけた位置関係にあっ
て前記第1層の上に重畳された第2層とからなり,複数のストランドが,
前記第1層と第2層とに固定されて前記第1層と第2層とを結びつけ,か
つ前記第1層と第2層の間に延伸し,前記第1層と第2層の間隔をあけた
位置関係を維持するようになっており,
前記複数のストランドによって前記第1層と第2層の間に空間が形成さ
れており,
前記空間に硬化可能樹脂からなる充填材料が充填されている医療用包帯
材料。
ウ相違点
(ア) 相違点1
本願発明において,ストランドが「弾力的に変形する,モノフィラメ
ント,マルチフィラメント或いはヤーンのいずれかからなる」のに対し,
引用発明においては,「パイル糸」についてそのような特定がなされて
いない点。
(イ) 相違点2
本願発明において,複数のストランド(40)によって第1層(30)
と第2層(20)の間の全体積に対して空隙体積が少なくとも50%で
ある空間が前記第1層(30)と第2層(20)の間に形成されている
とされるのに対し,引用発明において,表地と裏地の間のプレポリマー
が充填される空間すなわち,パイル糸の存在しない空隙体積が3次元的
隙間全体積に占める割合が特定されていない点。
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