JOL

LexisNexis JP
企業法務に特化したデータベースサービス

約19万件の判例をはじめとする日本最大級の収録コンテンツ。
月額固定料金で使い放題。

BIZLAW求人サービス

BIZLAW求人サービス
企業法務に特化した質の高い優良求人紹介サービス

職種・分野に的確なご案内で、企業法務のプロフェッショナルにふさわしい求人情報をご提供致します。

日本法ニュース:重要判決情報

大阪高判 平成21(ネ)2110 損害賠償請求控訴事件 意匠権 民事訴訟(2010年01月29日)

平成22年1月29日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成21年(ネ)第2110号損害賠償請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平
成20年(ワ)第13282号)
口頭弁論終結日平成21年12月10日
判決
控訴人( 原告) 村角工業株式会社
訴訟代理人弁護士村林隆一
井上裕史
訴訟復代理人弁護士速見禎祥
張泰敦
被控訴人( 被告) 株式会社硝英製作所
訴訟代理人弁護士吉澤敬夫
訴訟代理人弁理士新井全
岡崎信太郎
補佐人弁理士野口和孝
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,6100万円及びこれに対する平成20年10
月1日から支払済みまで年5分の割合による金銭を支払え。
3 仮執行宣言
第2 事案の概要
1 本件は,登録番号第888566号の本件意匠権を有する控訴人が,本件登
録意匠に係る物品である医療検査用細胞容器を製造販売等する被控訴人に対し,被
告製品が本件登録意匠に類似し,これを製造販売する行為が本件意匠権を侵害する
と主張して,不法行為に基づく損害賠償として6100万円及び遅延損害金の支払
を求めたものである。
原判決は,被告製品は本件登録意匠に類似せず,被控訴人に本件意匠権侵害はな
いとして,控訴人の請求を棄却した。
2 前提事実,争点及び争点に係る当事者の主張は,原判決「事実及び理由」第
2及び第3に記載のとおりである。
3 争点1(被告製品意匠が本件登録意匠と類似するか)について当事者双方が
追加補充した主張
(1) 透孔の構成及び共通点1について
(控訴人)
需要者は薬液等の透過が十分確保できるかを,本件物品における透孔を全体的に
眺めて判断するため,透孔の全体的な構成が関心事になる。本件登録意匠では,透
孔は,本件物品の大部分を占めているため,需要者が注目する部位となる。かかる
透孔の数,形状や大きさ,配列が一体となって想起させる印象が異なれば,需要者
は異なる美感を想起する。本件登録意匠の透孔の構成と,被控訴人が公知形態とし
て掲げる乙6及び乙7の意匠の透孔の構成とは,仕切り等の存在により異なってい
る。僅かな公知文献に基づいて,共通点1にかかる構成を,当然出願時公知と認定
すべきでない。したがって,透孔の構成は本件登録意匠の要部であり,共通点1が
両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(被控訴人)
乙6及び乙7には小さな正方形のマス目状の透孔が存在し,共通点1のような大
きさの透孔を持ち,あるいは仕切りが存在しない容器は昭和40年代から使用され
続けている。本件物品の透孔は検体を処理するために薬液等を通過させるためのも
のであるから,需要者は透孔の具体的配列や総数に特段注目するものではない。
(2) 標本収納部の構成及び共通点2について
(控訴人)
僅かな公知文献に基づいて,標本収納部の構成を,当然出願時公知と認定すべき
でない。
(3) 共通点5について
(控訴人)
共通点5の具体的構成は公知ないし周知ではなく,被告脚部は需要者に注視され
るものではないため,共通点5の存在により,需要者は,本件登録意匠と被告製品
意匠について同一の美感を想起する。
(被控訴人)
容器本体の側面に段差を設ける構成は公知であるから,共通点5の形態によって
もたらされる美感の程度は大きくない。
(4) 差異点2について
(控訴人)
被告脚部に新規の機能があるとはいえない。また,被告脚部は極めて微小な突起
に過ぎず,被控訴人が被告容器について使用を推奨するバイオベッセルトレーを用
いて作成されたパラフィン標本は,容器周縁部まで形成されるのであるから,被告
脚部はパラフィン標本に埋没し,需要者に何らの美感を想起させない。さらに,需
要者は,本件物品を使用する際,容器本体を上部から眺めることが多く,被告脚部
よりも上部に注目する。したがって,差異点2が需要者に対し異なる美感を想起さ
せることはない。
(被控訴人)
被告脚部は,薬液などをスムーズに流通させる機能,及び,パラフィン標本をミ
クロン単位に切断作業する際,当該標本の水平方向の動きを規制して,容器からの
剥離等を防止するという機能を有しており,この機能は需要者に注目されるため,
被告脚部は美感に与える影響が大きい。パラフィンは本件物品の周縁部まで到達し
ないのが通常なので被告脚部は視認される。被告製品意匠は,被告脚部により底面
側の形状が環状に配置された凸凹ないし王冠形状として視認されることにより,底
面側が直線状であるものと比較して,目立つこととなる。
需要者は,ピンセット等で検体を容器本体内に出し入れしたり,蓋を着脱したり,
パラフィンをあふれない程度に注いだりする作業よりも,パラフィン標本をミクロ
ン単位にスライスする手作業のほうにより注意を払うのであるから,その際に視認
される容器本体の底面が注目され,脚部が極めて目立つ。また,複数の容器を包埋
篭に収納する際にも,脚部は目立つ。
(5) 差異点6について
(控訴人)
蓋の切り欠き部は,微細なものであり特別の機能も有しないため,差異点6は本
件物品の使用態様に鑑みれば,需要者が注視しない部位であり,美感の想起には無
関係であるため,本件登録意匠と被告製品意匠との類否判断には影響を与えない。
(被控訴人)
差異点6は被告脚部ほどではないが,両意匠の類否判断に全く影響を与えないわ
けではない。
(6) 差異点1,3~5,7及び8について
(被控訴人)
被告製品意匠の容器本体に存する短辺部の切り欠き部(差異点1)及び開口端面
の階段状部(差異点4)は,薬液の流通を円滑にするという新規な形態なので,需
要者に注目される。蓋を密閉したり蓋を開けたりする作業に注目する場合は,差異
点5,7及び8も類否判断に与える影響が少なくない。
(7) 全体的な美感
(控訴人)
容器本体の短辺部の逆凹字状の形状は,本件登録意匠出願以前には見られないも
のであり,容器本体をミクロトームに設置した際に,需要者の視覚に強調されるの
であり,薄切作業時やアダプターにセットするときやパラフィンを付着させた後容
器をトレーから取り出すときなどにも需要者に認識され,この形状は需要者に対し,
新規で強烈な美感を想起させる。
蓋の開閉具合は具体的な係合に左右されるから,需要者は具体的な係合具合にか
かる構成にも注目するのであるが,容器本体の短辺部の逆凹字状の形状と共通点4
から,容器本体に蓋を係合させた場合においても,新規で強烈な美感を想起させる。
さらに,共通点1は要部であり,これと共通点2により,上記共通点3ないし5
が想起する類似性をますます強調する。したがって,本件登録意匠と被告製品意匠
は,その構成を全体的に眺めた場合,需要者に対し,同一の美感を強く想起させる。
これに対し,差異点2は,その大きさや部位に鑑みると需要者が想起する美感に
ほとんど影響しない。
よって,両意匠は需要者に同一の美感を与えるものである。
(被控訴人)
容器本体をミクロトームに設置する場合,容器本体の短辺部は隠れるか全体は視
認されない状態になり,かつ,差異点1のために,被告製品意匠の逆凹字状の形状
は需要者の視覚に強調されるとはいえない。被告脚部は薄切り作業の際に視認され
る。
被告製品意匠は,容器本体の短辺部に切り欠き部を有するため,蓋の突起と係合
する段差は目立たず,むしろ,溶液入出孔がよく視認される。また,差異点2及び
差異点7が存し,蓋の突起と係合される段差は一般的な構成であり,需要者は蓋の
開閉具合を確認する以上に具体的な係合に係る構成についてまで注目しない。した
がって,容器本体に蓋を係合させた場合に,本件登録意匠と被告製品意匠は同一の
形状を示し,この点で本件登録意匠が,需要者に対し,新規で強烈な美感を想起さ
せるとはいえない。
共通点1・2は平面視の形態,共通点3・5は側面視の形態,共通点4は蓋の形
態であって,これらには有機的なつながりはない。本件登録意匠は単に各部位の機
能を追求して作られた容器に過ぎず,全体的まとまり感があるとしても,周知な形
態と同じ全体的まとまり感であって,本件登録意匠独自の美感ではない。



http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=38397&hanreiKbn=06

トラックバック(0)

このエントリーのトラックバックURL: http://www.bizlaw.jp/cgi-bin/app_tool/mt-tb.cgi/21315

重要判決情報 最新ニュース

▲このページの先頭へ